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  • 2019.08.06

    「プレイヤーからマネジャーへの転換」vol.9

    野元義久

    企業における最も古典的な断絶であり、ダイバーシティ対応への鍵ともなる、
    「”優秀な個人プレイヤー”から”チームを率いるマネジャー”への転換」をテーマに連載しています。
    月刊人事マネジメント(株式会社ビジネスパブリッシング)

    今回は「小さな成功体験を発見する」です。
    マネジャーになると、取り組んでいることへの手応えがわかりにくくなります。それは、取り組みのサイズが大きくなるのですぐに結果が出ない、というだけでなく、自分以外のメンバーが行動するので手応えが直接にはわかりにくくなるからです。よって、取り組んでいることの結果情報が入手できる仕組みをつくることが大切になります。
    また、「経験から学習するスキルを備える」でも紹介しましたが、上手くいかなかったことに限らないで、具体的・客観的な結果情報を把握し次のアクションへとつなげる学習サイクルはチームに欠かせません。今回は、結果情報を丁寧に把握していくヒントを紹介します。

    vol.9 ◆◆小さな成功体験を発見する◆◆

    途中の目指す結果を定性で表現する
    ビジネスでは結果を定量で示すことが求められます。メンバー時代から、目標設定や評価のタイミングで、そう指導されたのではないでしょうか。よって、“何が幾つ出来た”“何が幾ら売れた”という数字管理に傾倒していきます。しかし、この最終結果だけの管理では、途中の歩みの方向やスピードが適切なのかがわかりません。最後の結果が出るまでアクションが改善できません(ちなみに営業成績の良くない部署は、この状態に陥っています)。暗闇の中で素振りを続けるような作業はメンバーの意欲も減退させます。
    最終結果にたどり着くまでの道のりを刻んで、途中地点ごとの目標状態を決めることをおすすめします。その際、いきなり数字で表すのではなく、“どんな状態か?を描き(定性的)、その状態を数字に置き換える(定量的)”という順で取り組んでみてください。途中地点の観測点に漏れがなくなります。また、結果の定量化が難しそうな取り組みの目標設定でもヒントが見つかるはずです。

    言動や行動を観測点にする
    “どんな状態か?を描く”と言いましたが、具体的には“映画監督になったつもりで、アタマの中に(紙に書いた方がベターですが)カラーで映像を浮かべる”ことをします。あるシーンのワンカット、どこで、誰が(誰たちが)、どこに立って、何を話しているか、しているか・・。人の言動や行動を中心にイメージを膨らませます。

    例えば、半年掛かりの業務改革プロジェクトが上手く進んでいる状態を描いてみましょう。
    折り返しの3ヶ月が経ったくらいでは・・、
    ・リーダーの自分が問い掛ける前に、各メンバーから進捗が共有されている
    ・会議に遅れるメンバーがいない。開始前から会話が多い
    ・役割を越えた指摘やアドバイスがある
    ・開始当初はプロジェクトを遠目に見ていたメンバーが「もうちょっと工夫してみましょう」と積極的に働きかけている
    ・プロジェクト外のメンバーから、質問が多くなっている
    ・自分の2つ上の階層から、プロジェクトに質問やリクエストがある
    などなど、でしょうか。ワクワクしませんか?
    そして、タイミングごとにこうなっているかどうか、を途中で観測していきます。

    小さな成功体験を活かす
    同じ要領で、プロジェクトのスタート当初では、どうなっているといいか?を考えます。特にスタート当初は良い兆しを探します。もちろん、当初は思ったようにいかないことも多いのですが、“あえて”良い兆しを探しにいきます。上手くいかない時こそ、小さなエネルギーを活かすのです。すごいことでなくても“兆し”レベルでもエネルギーになれば十分です。例えば「みんな反応がないんです」とひとまとめにしがちですが、頷いているメンバーが一人でもいたら、そこに着目するということです。
    良い兆しに焦点を当て、メンバーや周囲にフィードバックすることで、活動に注目を集め、携わるメンバーの意欲を刺激します。これは、J.P.コッター氏が「カモメになったペンギン」で紹介している組織変革8段階プロセスにも通じます。このプロセスのSTEP6で「短期的な成果を生む」とあります。“短期間で成果を上げて、皮肉や悲観論、懐疑的味方を封じ込める。これで変革に勢いがつく。目に見える成果、明確な成果、心に訴える成果を生むように心がける”と書かれています。
    そして、この“成果”とは何を指すか?どう発見するか?を考えていないと、悲観や懐疑にまみれて自分が意気消沈してしまうということです。

    メンバー自身が発見できるように働きかける
    最後に、この兆しの発見が自立的になるように働きかけていきます。
    具体的には、
    ① リーダーの自分が観察できた良い兆しをメンバーにフィードバックする
    ② メンバーから良い兆しを教えてもらう
    この①と②の量を、次第に ②>① になるように働きかけていきます。そのためにはフィードバックを交換する場と、リーダーからの問いかけが必要です。新たに時間を設けることも難しいことが多いので、すでにある1on1や会議にその時間を組み入れることをおすすめします。
    次に意識して欲しいことは、
    ③ 他の関係者からのフィードバックを入手する
    ことです。
    プロジェクト的な取り組みは上手く進むほどに、“内輪ウケ状態”になります。熱量の差が生まれ、時には断絶を生みます。私たちリーダーには内だけでなく外との関係をつくることが必要です。

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