BLOG

  • 2017.10.31

    企業の永続に必要な「母」の役割

    野元義久

    日本に200年以上続く企業は4000社近いと聞く。
    世界2位のドイツに比べて倍以上らしい。明治維新や戦争、戦後の財閥解体などなどの混乱期を経ながらも圧倒的な数を誇る。そしてその多くは家族経営・同族経営(ファミリービジネスと呼ぶ)である。
    ※日本ファミリービジネスアドバイザー協会では「家族・親族が同企業の経営に実質的に大きな影響を及ぼしている会社」をファミリービジネスと定義している。http://fbaa.jp/goals.htm

    ファミリービジネスには良くないイメージを持つ人も多い。私もこの研究に携わる前は、ニュースで取りざたされる面白おかしいお家騒動や、貧富格差の権化のように思えていた。もちろん貧乏者の妬みや羨ましさもある。だがお家騒動は研究するほどに“納得できる”ことでもあった。例えば3代も続くと相続で株式が分散され、血のつながらない家族が増えるので利権にまつわる揉め事が増えるのは必至。

    そんなファミリービジネスが永く続くことはいいことなのか?
    私自身は永く続くことを支援したい。

    (以下、私がある経営者に宛てた手紙の一部)
    創業者、先代の方々が強いエネルギーで事業を推進してこられたからこそ、利便を生み雇用を生み、社会的意義を成してきたはずです。私はリスクをとり「事を興せる」方々をリスペクトしています。一方で、そのエネルギーが強すぎるがあまりに途中から傲慢・強引な運営となり、その固執がやがて市場価値の薄いビジネスへと衰退してしまうことも多くあります。もったいない、と思います。衰退のほとんどが3円モデル(3円モデルでは「ビジネス(事業)の承継」「オーナーシップ(所有)の承継」「ファミリーの承継」とし、その重なりや複雑性をみていく)の客観視に乏しく、また長期目線での手立てが不足しているようです。多くの経営者がうすうす気づいている問題に上手く処せていないことと思います。一部の誰からも喜ばれない企業や事業を除き、「事を興せる」遺伝子が承継されていくことに寄与したいと考えています。

    (企業・事業だけでなく)先代が築いた資産が活かされない社会は、毎回毎回、一から事を興さねばなりません。知恵と資産が次世代に活かされていく社会は精神的にも豊かな社会だと信じています。創業者個人としても、誰かに貢献し、その影響が受け継がれていくことは充実した人生を送れたと感じるはずです。

    もちろんビジネス(事業)が魅力的でなければ淘汰されていく。
    そして事業だけでなく、ファミリーの協調を支え続ける仕組みが必要である。例えばアメリカでは定期的なイベントで親族の統制を図る企業が多い。

    研究を進め、ファミリーの協調に母の存在が貴重だとわかった。
    正確には「グレートマザー」と呼ばれる「全体を包摂する母的な存在」のことを指す。
    強い父性に対して、変わらない母性が対極に存在してこそ幅のある次世代経営者も育つ。

    研究に協力頂いた企業でも尊い母の支えがあった。
    絶対に父(夫)の悪口を言わず、お父さんの偉大さを家族に説く。教育方針を日常で体現する。その教えを妹が受け継ぎ、次代の奥様も受け継ぎ、狩に出掛ける男たちの帰る場所の調和を相互に整え続ける。要所でファミリーの全体最適に働き掛ける母の存在は貴重だ。男たちは慰労を示す必要がある。父性の愛は個人に向き、母性の愛は家族(全体)に向くという感がする。共に必要。

    近代、女性の社会進出は進む。創業家・経営者の家庭においても、常に女性が家にいる形でファミリーを支え続けるというスタイルは少なくなっていくだろう。
    もちろん、男性が意識的に母性を発揮することだってできる。いずれにしても、次世代教育における新しい役割分担の形を見出すことがファミリービジネスの永続発展には欠かせない。

メルマガ購読希望の方はこちら

メールアドレス
お名前

会社名

2015 copyrights BRICOLEUR