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  • 2018.12.06

    連載開始!「プレイヤーからマネジャーへの転換」vol.1

    野元義久

    企業における最も古典的な断絶であり、ダイバーシティ対応への鍵ともなる、
    「”優秀な個人プレイヤー”から”チームを率いるマネジャー”への転換」をテーマに連載します。
    月刊人事マネジメント(株式会社ビジネスパブリッシング)

    ◆◆はじめに:今どきのマネジャー実態◆◆

    近くにお手本のいない新任マネジャー

    経営は大きな期待を込めて、これまで優秀な成績を収めてきたプレイヤーをマネジャーへと登用します。
    しかし登用される本人にしてみると、嬉しさばかりではありません。これまでは一プレイヤーとして活躍してきましたが、プレイヤー時代に“マネジャー”としての仕事を十分に理解してきたか、というとそうではないからです。もちろん、その仕事を練習してきたわけでもありません。プレイヤー時代のようにマネジャーとしても成果を出せるかどうか・・。もちろん意欲や自分なりのプランはある。しかし、それだけで本当に通用するのかわからないという不安を抱える人は少なくありません。

    人事は昇格後研修などで支援しますが、実際は一度だけ集合型の座学研修を行うという会社が多いようです。それでも、右肩上がりの経済成長の下では、ゆっくりと準備が出来てきました。近くの上司・先輩を手本にすることも出来ましたが、変化の激しい近年はその人たちが経験してきたことばかりではありません。
    かろうじて手本と慕う存在だった先輩マネジャーも、さらに上位に抜擢されたり、時には転職してしまったり…と遠い存在になってしまうこともあります。近くに手本のいない中で、これまでとは異なるマネジャーとしての成果を急に求められるというプレッシャーに晒されるのが、最近の新任マネジャーです。

    自分が”する”ことで辻褄を合わせる悪循環

    着任後はさらに大きな責任を背負うので失敗は出来ません。

    「Getting things done through others(他者を通じて物事を成し遂げなければならない)」クーンツとオドンネルらによる「マネジメントの定義」引用
    本来はその大きな責任の下、“周りの人にしてもらう”ことでチームの成果を上げていくことがマネジャーの役割です。私たちブリコルールではこのマネジメントスタイルを「ファシリテーション型マネジャー」と呼んでいます。

    しかし、そのための理論を多少学んでいても、それは実践知でないためにやってみるのは躊躇します。
    結果、優秀な個人プレイヤーだった自分の力をさらに高速回転させてチームの成果を上げようとしてしまうのは、本人からしてみたら当然の理屈です。プレイングマネジャーという配置はさらにこの個力の発揮を加速します。しかし、自分がする人になると、タコツボな集中状態となり、他のメンバーの指導やチームビルディングへの余裕はなくなり、場当たりな指示や業務の偏りなどを生みます。結果、うまくマネジャーとしての成果を上げることは出来ません。

    これをみて経営や人事が「プレイヤーとして優秀だっただけの人」「マネジメントには適性がない」というレッテルを貼ってしまう。個人に責を求めることで新陳代謝は進むのかもしれませんが、過去の優秀なプレイヤーとしての人材も失いかねません。そしてそんな様子を下から見ている次の世代はマネジャーという役割に魅力を感じなくなる。結果、マネジメント人材の不足が企業の成長の足枷となってきます。

    マネジャーになるための準備期間が必要

    プレイングとマネジメントが別の役割ならば、急な転換を未経験者に求める登用はギャンブルです。チャレンジとは呼べません。

    私たちブリコルール社は”○○する人、から、○○してもらう人へ”の転換には理論を実践知として活かす準備期間が必要だと唱えています。”まずはやらせてみよう”というギャンブルを続けて組織も人も疲弊させるよりは、”経営、人事、上長、本人、が四つ巴で徹底的に準備する”チャレンジの方が良いでしょう。
    そのために登用前の教育支援を手厚くすることを勧めています。そして、その着手を始める企業が増えています。

    足すのではなく、まずは引く

    しかしその取組みは丁寧に進めなければいけません。ただ負荷を増やすことになってしまうからです。
    意識高い人たちは何でも上から足そうとします。特に全体が見通せている経営や人事はマネジャーの成長を急かします。”まだまだ足りない”“もっともっと”のスタンスがベースです。

    そもそも優秀な個人プレイヤーは”すでに“ギリギリまで努めています。馬車馬働きを黙認出来る社会でもない今、期待を責務に変えて重ね続けることは無策です。

    足す前に引かないと、受け容れる器が出来ません。

    楽をさせてあげようと言っているのではありません。”仕分ける力を備え、移行の準備をさせる”ことです。これ自体がマネジメントへのステップアップにつながります。足す前に、「今の仕事に余力を生む=生産性を高めるコツを習得する+他者に自分の仕事を引き継ぐコツを備える」という課題を提供します。それにより、“引く”ことが出来れば、マネジメントの役割を足せるようになります。

    次回は、
    “足す前に引く”という具体的なアイデアを紹介します。
    以降、引いた後に足していきたいマネジメントの実践知をどのように身につけていくのかを続ける予定です。お役に立てるお話になれば幸いです。

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