ブリコルールの売りは、職場開発におけるオプティマムデザインとデュアルファシリテーション。
http://brico.ne.jp/service/#approach
ということは、ファシリテーションのやり方を説明出来ないといけない。
上手く出来ているかの評価はお客様に委ねるとして、今回は私がやっていることを紹介したい。
(デュアルのコツは省き)ワークショップのファシリテーターとして、4つの基本を紹介する。
学びや問題解決を目的としたファシリテーションを対象にするので、会議ファシリテーションとは違ってくる。やることは多くなる。
1.ステイクを握る
2.サイクルを回す
3.観て委ねていく
4.役割を演じる
「2.サイクルを回す」から説明する。
基本の動作は、
TELL(背景や解釈を説明し進行)→ASK(論点を明示し問う)→LISTEN(開いた傾聴)→ANALYZE(対話を深め、学びを統合)→TELL→…
これを回し続けて、学びや問題解決を誘う。
今、自分が何をしているか(参加者に何をして欲しいか)を見失わない。
このサイクルは、私がファシリテーターという商売を始めるきっかけを下さった 船川淳志師匠 の教えの一つでもある。
「3.観て委ねていく」
参加者に委ねていく流れをつくる。
スタート当初はこちらがリードする時間・話す量を多くする。この場の目的・目標を示し、そこに向かうエネルギーを高めなければならない。
しかし次第にこちらのリードの時間・量を減らすことで、ワークショップ本来の参加者主体の場をつくっていく。どの程度委ねていいかを判断するため、場の状態を観続ける。目的・目標の渇望度、関係性、思考・対話の集中度などなどの変化を観察し続け、適切に手放していくことになる。
この考え方は、一昨年に修了した青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラムで「F2LOモデル」と紹介されている。
「4.役割を演じる」
2.を回し、3.を進めるために、ファシリテーターは何役も演じる。
主な配役。
・しくじり先生:発言ハードルを下げ、場を和ませるために、自身の失敗や現在進行形の苦労を紹介する。
・金八先生:熱く訴える。理を越えるための情に登場してもらうため、理に魂を入れるためにドラマの最後の尺で登場してもらうことがある。
・キングカズ:理想を体現している人として凛と立つ。専門家・先達として諭す。これは話すと疎ましいことが多いので、その匂いを漂わせる必要があるのだが(苦笑)。
・チームメイト:共にチャレンジする仲間。痛みや嬉しさを同じく感じていることで勇気づけたい。
・私設応援団団長:ただただ熱烈に参加者の実践を後押しし、たとえ三振に終わってもバットを振り続ける姿に声援を送る。そして明日の試合も応援する。
・お天気レポーター:場の雰囲気、空気感をただ反映して言葉にする。特に堂々巡りや行き詰った感がある時、このレポーターの声でハッと気づき、次のステップに進むことが多い。
それぞれ、議論を深め、サイクルを進めるために役割を演じ変える。
ファシリテーターは忙しい。ブリコルールがデュアルでやるのは、この演じ分けのためでもある。
この演じ分けは、長年学んでいる日本プロセスワークセンターのプロセスワーク(プロセス指向心理学)やインプロビゼーション(即興演劇)が基礎になっている。
「1.ステイクを握る」
ワークショップのキーメッセージ、ステイクを握り続ける。
大げさに言うと、この場をリードする自分の信念、テーマに対する価値観とも言える。
例えば来週の営業パーソン対象ワークショップでは「お客様のシグナルをキャッチしないで流暢に話すことは逆効果」が私の握るステイク。
途中でどんな流れになったとしても、このキーメッセージに戻る。ここが中立的であることを尊重する会議ファシリテーターと異なるところだ。ワークショップのファシリテーターは参加者が主体的な学びや問題解決を進めていくことを促進するが、“どうなってもいい”というわけでない。押し付けはしないが、ステイクをぶつけにいく感じである。
これはCTIリーダーシッププログラムで合宿と実践を繰り返しながら掴んだ感覚でもある。
今回はワークショップの裏側でファシリテーターが何を考え、何をしているのか、の基本的なところを紹介してみた。
最後に、いろいろ書いたが(まだまだ他にもあるが)、ファシリテーターは何もしていないように見えるくらいでちょうどいいと思っている。先述のF2LOモデルでも出てくる「黒子」だ。そしてこの黒子の振る舞いは、学びや気づきあふれる職場を創り出すマネジャーにも試して頂きたいと思っている。