例えば、
周囲の期待になんとかすべて応えよう!
と、努める人がいる。
あらゆる注文を断らずに受けとめ、飲み込み、自分は青息吐息になりながらもアウトプットを続け周りの期待に応える。心身共にギリギリな日々を生きている。
私たちにもそんな頃があったかもしれない。
みなさんの周りにも近しいことを繰り返している人がいるかもしれない。
そんなのは当たり前だ!
それでいいんだ!
と言う人もいるだろう。
期待にきちんと応えられてこそ、社会の中での存在意義がある、とするならその通りかもしれない。
そんなんじゃダメだ!
それでは主体性がない!
決断力がない!
柱がない!
自分の人生を生きていない!
と言う人もいるかもしれない。
どうだろう。
どちらが正しいのか?
この問いにロバート・キーガン氏は「成長のステージ」で答えている。
※ロバート・キーガン ハーバード大学教育学大学院教授
ブリコルールは、この論をベースにした、リーダーシップサーベイTLC®
http://www.theleadershipcircle.jp/assessments/lcp.php
を活用している。
認定プラクティショナー資格を取得し、リーダーシップ開発のためのワークショップやエグゼクティブコーチングの場面で用いる。
キーガン氏の論では、人は6つの成長ステージを経ていく。
第2ステージは利己的自己のステージ。
純粋な自己欲求に任せて振る舞う子供=エゴセントリック。1歳半の我が子はまさにこのステージ(^^)…青年期にはほとんどの人が卒業する。
第3ステージは反応的なステージ。
社会適合し効果的な市民となるために、自分に期待された役割にアイデンティティを見出す=リアクティブ。
周囲の定義に順応しようと努める。自分の魂の声は聞こえないふりをして過ごしてしまう。その声が聞こえそうになると、恐れたり、感情的な反応をしがちで、ユニークであることに蓋をしてしまう。何かを我慢をしているような感じかもしれない。
およそ70%の成人がこのステージに留まると言われている。
第4ステージは創造的なステージ。
リアクティブ期に定義した自分のアイデンティティを手放す旅を経て、内側から湧き上がるオリジナリティ溢れるビジョンを社会と繋げていく。
わずか20%がこのステージに辿り着くようだ。
このステージに居るリーダーは他者の成長を深層から支援する。
私には「確かにこのステージのリーダーだな」と感じる友人がわずか数人だけいる。
先の例(心身共にギリギリな人)を当てはめると、第3ステージ=リアクティブ領域(他者依存)にエネルギーを傾注している人だと言える。
だがこの論の素敵なところは、そのエネルギーをポテンシャルと捉えていることだ。
他者依存に傾注している人は、他者の気持ちに敏感で寄り添うことが出来る資質・意欲を持っている。周囲と上手く協働するポテンシャルが高い人だとみる。
エネルギーの活かし方を意識して変えることで、リアクティブからクリエイティブなリーダーシップへと変容出来ると考えている。
素晴らしい。
人格を尊重し、慈愛に満ちた設計思想だ。
まさにブリコルールのオリジンの思想に近い。
http://brico.ne.jp/company/
世の中の人材開発・組織開発サービスには、周囲からの期待とのギャップを測り、その差を問題として解決行動を強制するスタイルがはびこっている。
サーベイを使った研修でも本人に徹底的なダメ出しをして貶めることをゴールに仕立てているようなものが「かなり」多い。本当に多い。
なんとも昭和なスタイル…
私も29年前から幾度と貶められ泣かされた。おかげさまで甘ちゃんリアクティブから脱却することが出来た。徹底的に相手の期待に対してパフォーマンスを出していく姿勢は形成されたと思う。
それを決して恨んではいないが、しかし、それだけでは何かが足りない。
期待に応えているだけではいけない。
これではどこまで行ってもクリエイティブなリーダーは育たない。
経営も「ウチのヤツらはクリエイティビティが無いんだ」と言う姿勢を手放してみてはどうだろう。メンバーが本来持つ資質を丁寧に観てみることで、クリエイティブリーダーの可能性に注目することをおすすめしたい。