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  • 2016.04.11

    「場」の論理を知り尽くした鈴木会長が「場」をマネジメントできない皮肉

    水田道男

    少し古い本になるが、伊丹敬之先生の「場の論理とマネジメント」という本の中で、セブンイレブンジャパンの全国のオーペレーションフィールドカウンセラーが一同に会する定例会議のことが紹介されている。莫大なロジスティックスコスト(そして時間の機会コスト)を払ってでも、同社の鈴木会長が「自分が経営に責任を持っている限り、中止するつもりはない」と語っている会議である。同書にて、鈴木会長はその理由を問われ、意思統一の重要性、場が生み出す熱量の効果などを語られている。

    私が在籍した前職のリンクアンドモチベーションでは、企業の強さを「ビジネスモデル×人材レベル×人材間シナジー×世界観の共有度」という積算で表現していた。世界観の共有度ということの重要性に共感していた私は、セブンイレブンジャパンの会議、鈴木会長の考え方に意を強くしたものである。

    この4月、私が携わる3つのコンサルティングプロジェクトが動き出した。クライアントは、3社3様。1社は成長意欲旺盛なシステム開発のベンチャー企業。2社目は、「IT」×「リアル」を標榜し、既存“レガシー”事業のパラダイム変革を企む。そして3社目は創業100年を超える老舗サービス企業。

    会社の個性もプロジェクトテーマもバラバラだが、唯一の共通点が「経営陣あるいはプロジェクトメンバー間の世界観の共有」が成果物の一つであること。どのような時間観(スピード観)で何を構想しているのか?意思決定の背景にある事業/組織観や人材観はどのようなものか?答えが唯一に定まるものでもないし、討議のやり方に明確な方法論がある訳ではないが、私はそのプロセスそのものに意味があると思っている。

    先に紹介した「場の論理とマネジメント」では、キヤノンの役員の朝会議のことも取り上げられている。何のアジェンダもなく社会経済情勢や自社のことなどを約1時間話し合うというもの。明確なアウトプットはないが、「共通の価値観や判断基準がそこはかとなく生まれることが最も大切」とまとめられている。

    正に、世界観の共有度が、意思決定の質、ひいては企業の強さを左右する、そしてその共有度を高めるには、意図的な場づくりが必要ということではないだろうか。

    ひるがえって今回のセブンイレブンジャパン鈴木会長の退任劇。

    取締役会ではそこはかとなく蓄積された価値観は機能しなかったのだろうか?

    その背景にどのような世界観のズレがあったのだろうか?

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